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治療前に充分なコミュニケーションを行い、ガイドを用いた低侵襲な手術とサイナスリフトを行った症例
70代後半の女性です。主訴は、左上臼歯部の歯が欠けたことと、上顎前歯部のブリッジがグラグラすること。右下の歯茎も腫れているので、総合的に診て欲しいと来院されました。
ご高齢の方が抜歯の適応症となった場合、治療をスタートする前にどのような欠損補綴の方法を選択するのか、患者さんと充分にコミュニケーションすることが重要です。
治療方法や治療期間、費用について充分に理解していただいたうえで、治療を行わなければなりません。さらに、最終補綴物を装着するまで患者さんのQOLを下げないように、どのような仮歯を装着するかも重要なテーマです。
この方は、7月前半にサージカルガイドを用いて右上4番・3番・1番、左上2番に計4本のインプラントを埋入しました。
治療期間中の仮歯として、右上6番と5番、左上の3番を利用した固定式のプラスチックの仮歯を入れました。したがって治療期間中も咀嚼機能や審美性は全く低下していません。ただ、その時点では左上の4番・5番・6番・7番の欠損補綴が残りました。
後日、その左上の部分に対して上顎洞底挙上手術を行い、3本のインプラントを埋入しました。
今後、全てのインプラントが骨に生着した時点でインプラントを用いた仮歯を装着し、上部構造の装着に移行します。
サイナスリフトを行ったため6カ月は時間がかかりますが、最終的な上部構造が装着されれば、70代後半のこの方はおそらく一生、固定式の歯でしっかりと噛むことができると思います。
この患者さんは今回初めてインプラント手術を受けました。最初に4本の埋入した時は、無侵襲と言ってよいほど痛みも腫れもない手術でした。しかしその後行ったサイナスリフトは、高侵襲の大きな手術です。難易度も高く、手術は2時間ほどかかりました。
患者さんにとってまず楽な手術を行い、その後に負担のかかる手術を行う。この順番も重要です。サイナスリフトを行う際には、事前に1度目の低侵襲とは全く違う手術であること、腫れも痛みも出てこういう顔になりますが1週間で治りますと説明し、絵に描いてお渡ししました。ご本人はともかく、ご家族や職場の方が心配するからです。これも重要なコミュニケーションだと思います。
残る右下の欠損については、インプラントではなく本人のご希望通りブリッジで行う予定です。
術前 パノラマ写真
術後 パノラマ写真
術後の仮歯の状態
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