洞粘膜の薄い患者さんに対し上顎洞底拳上手術を行った症例
この方は30代の女性です。右上の5番、6番部の欠損で来院されました。
ブリッジによる治療にするか、インプラントによる治療にするか、コーンビームCTを使って精査しご本人と充分なカウンセリングを行った結果、インプラント治療を選択されました。
日本人の場合は上顎臼歯部の骨量が少ないために、上顎洞底拳上手術を行うケースが非常に多くなっています。当院でいつも行っているようにミタゾラム、プロポフォールを併用した静脈内鎮静法で、ラテラルウインドウによる上顎洞底拳上手術を行いました。
洞粘膜が非常に薄く治療しづらいケースでしたが、損傷も無く、無事上顎洞底拳上手術とインプラントの埋入を終えることができました。
先日、インプラントの専門誌で上顎洞底拳上手術の成功率について書かれた記事を読みました。手技に富む口腔外科の専門医ですら、20%の確率で上顎洞粘膜の損傷を起こしてしまうと書かれていました。私はこれまで数百症例のオペを行ってきましたが、損傷を起こしたのは1例です。オペをいかに慎重に進行させるかが重要なポイントであると、常々感じながら治療にあたっています。もちろん麻酔科医や歯科衛生士、他の歯科医師との連携が重要であることは言うまでもありません。
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