インプラント周囲炎
インプラント周囲炎について、私なりに考えていることがあります。インプラントを埋入した後、口腔内の環境をチェックするためにいろいろな検査を行います。レントゲン上で骨の吸収を見たり、歯周病学的にポケットの深さを測定したり、どのくらいプラークコントロールができているか確認したり、ポケットからの出血の有無を見たりして、臨床的なパラメーターを評価して累積的に判断(CⅠST)し、治療を行います。これは口腔内の局所的な診断ですが、これからは患者さんの全身状態も見ながら評価しなければならないと思います。
例えば、その患者さんが喫煙者なのか、どのくらい本数を吸うか、定期的継続的なメインテナンスを行えるか、糖尿病か、心臓病か、骨粗しょう症治療薬を飲んでいるか、抗うつ剤を服用しているかなど全身的なファクターを考慮する必要があります。
周囲炎というとインプラントの周りの骨や軟組織に着眼しがちですが、インプラントの上に載っている歯の状態やデザイン、スクリュー固定なのかセメントで固定されているのかなどインプラントと上部構造との関係性も考慮して、総合的に判断しなければなりません。
そして、欠損補綴をする場合、必ずしもインプラントが最も適しているとは限りません。ブリッジ、取り外し式の入れ歯の方が良い場合もあり、全身的な症状も考慮に入れて患者さんと良くコミュニケーションをとりながら決めていくことが重要です。
その患者さんの5年後、10年後の状態についても考慮し、先々どうなるという可能性も情報として提供する必要があると思います。我々歯科医はただ治療するだけではなく、患者さんと話し合いを充分行うことが大切です。それを裏付けるための文献はどんどん更新されるので、それにも目を光らせていなくてはならないと感じています。
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