静脈内鎮静法を用いて上顎洞底拳上手術を行った症例
40代の男性です。右上の第一大臼歯の欠損で来院されました。
術前にコーンビームCTでインプラント治療が可能か精査した結果、8㎜くらいの短いインプラントは埋入できることがわかったのですが、ご本人に上顎洞底拳上手術の治療の流れと当院で行われている過去の治療結果を説明したところ、長いインプラントを埋入することを選択されました。
私は神様ではないので、どんな手術でも100%、120%必ず成功するということは言いません。非可逆的な治療を行う時には、第2、第3のリスク回避法をきちんと準備して手術に臨まなければならないと考えています。
この症例の第2のリスク回避法は、8㎜のショートインプラントを埋入する方法、第3のリスク回避法は、不本意ですが欠損歯の隣にある天然歯を削って、ブリッジで補綴を行うという方法です。
静脈内鎮静法を行う患者さんには、術前にこれらの事を説明してからオペを行うことにしています。とは言え、過去の成功率は99%以上です。
今回もラテラルウインドウテクニックで上顎洞底拳上手術を行い、一回法で直径4.5㎜、長さ11㎜のインプラントを深めに埋入することができました。初期固定も充分に獲得することができたので、6か月後には最終補綴物がきれいに装着されると確信しています。
上顎洞底拳上手術はオペ時間が1時間~2時間程度なので、外科的侵襲度は他のインプラント治療に比べると少し高くなります。既存骨への埋入なら1本20分以内で行い、ほとんど痛みも腫れもありませんが、さすがにこのようなアドバンスな手術の場合は、少し腫れるケースもあります。
しかし、必ず術前に腫れや痛みについての充分な説明を患者さんへ行っているので、これまでクレームを頂いたことはありません。
歯科医として一番うれしいのは、「先生にお任せします。一番良いと思う方法をとってください」と言って頂けることです。信頼して任せて下さることに対し、感謝する気持ちでいっぱいです。
これまでアメリカで勉強したことや、臨床、地域中核病院で学んだ口腔外科的なスキルを充分に活かして、今後もより良い医療を提供していきたいと思っています。
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