上顎洞底部がいびつな形状の患者さんに上顎洞底拳上手術(ラテラルウィンドウテクニック)を行った症例
このところ上顎洞底拳上手術(ラテラルウィンドウテクニック)を行う件数が非常に増えています。
上顎の大臼歯を歯周病や虫歯によって失い、欠損補綴の方法としてインプラントを希望して歯科医院を受診した場合、上顎臼歯部の骨量が足りないためにインプラント治療を断られるケースがあるそうです。
そのような患者さんがインターネットや医療雑誌、情報紙を見て当院に来院されることが多いようです。
コーンビームCTで精査すると、やはり上顎臼歯部の垂直的な距離が足りないために、上顎洞底拳上手術を行わなければインプラントが埋入できないことがわかります。
最近はいろいろな短いインプラントが開発され、上顎臼歯部にショートインプラントを埋入する先生もいらっしゃるようですが、これまでの臨床での経験や、埋入してから10年以上経過した患者さんの様子を見ると、10㎜以上の長いインプラントを適切なポジションに、適切な深度で埋入する方が良い結果が得られるのではないかと思います。
こちらの患者さんは20代の女性ですが、解剖学的に歯の根が短く、それに伴い上顎骨の垂直的な距離が著しく短かったケースです。
CTスキャンを見ると上顎洞底部がいびつな形をしていて、手術はかなり難易度が高いと考えられました。
術前にCTで精査し、手術方法および考えられる偶発症を患者さんに詳しく説明したところ、ラテラルウィンドウテクニックによる上顎洞底拳上手術を選択されました。
結果として、11㎜のインプラントを埋入することができました。初期固定も獲得できたので、半年後にはご本人の望む最終補綴物を装着することができると思います。
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