上顎臼歯部に上顎洞底挙上手術を行い2本のインプラントを埋入した症例
当院では、臼歯部欠損でインプラント治療を希望する患者さんが増えています。
最近は、いろいろな歯科医院でインプラント治療が受けられるようになりましたが、やはり一番難しいのが上顎臼歯部です。その理由として特に日本人の場合、骨のボリュームが少ないという問題があります。顎の骨の水平的な距離(幅)は充分あったとしても、垂直的な距離が無く、上顎洞に対する骨の造成を行わなければならないケースが多いからです。
上顎臼歯部にインプラント治療を行うには、当院でよく用いているラテラルウィンドウテクニックで上顎洞底挙上手術を行い骨の造成をするか、海外のメーカーのショートインプラントを使用するか、大きく分けて2つの方法があります。
30代~60代という若い世代の患者さんには、やはり15年、20年と長い期間インプラントがもってもらいたい。それを念頭にエビデンスを考察すると、上顎洞底挙上手術を行い、長いインプラントを埋入した方が予知性は高まると考えられます。
したがって上顎臼歯部にインプラント治療を行う場合は、2つの方法をしっかりと説明し患者さんから質問も受けて、それぞれの利点欠点を充分に理解していただいたうえで治療方法を決定することが重要だと思います。
こちらは50代の女性です。右上の臼歯部欠損でインプラント治療を希望して来院されました。
このケースではショートインプラントも可能でしたが、ご本人の希望としてはできれば上顎洞底挙上手術を行い、長いインプラントを埋入してほしいということでした。
治療法の第一の候補は上顎洞底挙上手術としましたが、術中に難しいと判断された場合は、ショートインプラントを使うことにしました。第二、第三の選択肢を常に用意しながら手術にのぞむことが重要だと思います。それが、安心で安全なインプラント治療につながると私は考えています。
自分の治療は100%成功すると自信を持って行いますが、決して過信にならないよう気を付けなければと思います。
結果的に、この患者さんには第一の選択肢である上顎洞底挙上手術を行い、充分な長さの11ミリのインプラントを2本埋入しました。
6か月後には、最終補綴物を装着することができると思います。
※ご注意:実際の手術映像が再生されます。
一般の方は、ご気分の悪くなる可能性がございますので、医療関係者のみの閲覧を推奨いたします。
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