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私の印象に残ったインプラント治療 その2

前回に引き続き、今回も山口院長がこれまで行ってきたインプラント手術の中で、特に印象に残っているインプラント手術の症例をご紹介いたします。 この患者さんは、50代の男性です。初診時、下の歯は全て抜歯しなければならない状態でした。歯周病のため全ての歯がぐらぐらで、いったいどこでものを食べていたのか、おそらく何も噛めず、飲み込むような状態だったのではないかと思われます。

インプラントにすれば噛めるようになるということはご存じで、当院の評判を耳にして来院されたそうですが、費用はどのくらいかかるのかを一番心配されていました。 上顎は両側の臼歯部、下顎は全顎にわたってインプラント治療が必要でした。インプラントの本数を減らし、義歯の固定に使うという方法も検討しました。それならコストはかなり安く抑えられます。 しかし、50代という年齢のこともあり、ご本人はしっかりと固定式の歯で治したいということで、下顎は固定式のインプラントブリッジを希望されました。上顎は、CTで検査したところ、上顎洞底挙上手術(ラテラル ウィンドウ テクニック)が左右両側とも必要なことがわかり、上下の同時の手術はできないと結論。上と下で、2回か3回に分けて手術することに決めました。 本人のご希望で、下顎から先に手術を行いました。残っている歯を一気に抜歯し、すぐに即時義歯(総入れ歯)を装着して、抜歯したところには人工骨を入れる、ソケットプリザベーションという方法で行いました。
抜歯後の下顎 抜歯後の下顎
それから2カ月後、インプラント埋入手術を行いました。
下顎のインプラント埋入 下顎にインプラントを埋入
静脈内鎮静法を用いたので、下顎は一度に7本のインプラントを埋入しました。
静脈内鎮静法の患者記録表 静脈内鎮静法の患者記録表
下顎の前歯部には、骨が薄かったのでチタンのスクリューピンを用いたGBRを行いました。手術時間はさすがに2時間5分かかりましたが、将来ブリッジが入れられる最適なポジションに埋入できたと思います。 7本同時にインプラントを入れると、さすがに術後の疼痛や腫れも出てしまいますが、患者さんに充分に説明しご理解いただいたので問題なく良い経過をたどると思います。下顎の治療がある程度進んだ後、次は上顎臼歯部のインプラント治療を行っていく予定です。
インプラント 下顎埋入前レントゲン写真 インプラント 下顎埋入前レントゲン写真 ↓ インプラント 下顎埋入後 レントゲン写真 インプラント 下顎埋入後 レントゲン写真
インプラント治療とは、どこか一部だけを治せばいいというものではありません。総合的に、口腔内のバランス、噛むという機能、もちろん審美的な問題も改善させなければ意味がありません。 その点この患者さんは、上下のインプラント治療の必要性も充分ご理解いただいているので、必ず良い結果が得られると確信しています。
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