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3カ月前に他院で前歯を抜歯した患者さんにカウンセリングを行い治療計画を立てた症例

 40代の女性です。地域中核病院で看護師さんをされている方で、上顎の前歯を欠損して来院されました。

 昔入れた差し歯が痛くなり、近くの開業医に抜歯してもらったそうです。患者さんは、ブリッジにすると抜歯した歯の両隣の健全な歯を削ることになるので、ブリッジにしたくなく、抜歯した開業医も同じ意見でした。カウンセリングを受けて、インプラント治療を受けることになったそうです。

 仲間の看護師さんに相談したところ、なぜ山口先生にやってもらわないの?と言われ、当院に来院されました。

 確かにこうした症例ではインプラントが有効だと思われますが、できるかどうかは、CTやレントゲン、噛み合わせ検査などをしてみなければわかりません。

「歯を抜いた時期はいつですか?」と尋ねると、3カ月前だということです。その3カ月間その先生は何をしていたのか、驚いていろいろとお聞きしました。CT検査はしていない、人工骨を入れる治療もしていないということです。

 いまだにCTなしで、インプラント治療を行う先生がいらっしゃる。

2Dの検査だけでは、骨の形態や骨質はわかりません。オペシュミレーションをすることができないのです。

 それよりも問題なのは、抜歯してから3カ月間待時してしまったことです。CTをとったところ、頬舌的な骨の委縮、そして垂直的にも骨が縮んでいました。

 その場で、CT上でシュミレーションしてみたところ、太さ3ミリ、長さ11ミリのインプラントがぎりぎり入れられることがわかりました。

 上顎の側切歯なので、D社の3ミリのEVインプラントが適応症なので入れられますが、大きな問題がありました。時間が経過しているために歯肉も退縮し、左右の歯の長さが変わってしまうことです。

 インプラントを埋入するポジションが3~4ミリ深くなってしまうと、出来上がる歯は長くなります。

 次に、マスクを外して笑っていただきました。スマイルラインの確認です。笑った時に、上唇が上にあがるハイスマイルラインの方は、歯茎が見えてしまい歯の長さの違いが判るのですが、この患者さんは幸いなことに、ロウスマイルラインでした。

 女性はとくに、前歯部の治療に理想的な歯の形、色、長さを求めます。この患者さんからも、より理想的な歯に治療するためにはどうすればよいかという質問を受けました。

 歯の長さを揃えるためには、縮んだ骨の部分に骨の造成をしなければなりません。骨の造成法として、人工骨を使うのか、自家骨を移植するのか、仮骨延長術を行うのか。そうした追加治療を行うと、外科的侵襲度が高くなり、治療時間もコストも更にかかることになります。

 1週間考えられた結果、多少歯の長さが長くなっても、追加治療を行わず欠損補綴をしてほしいということになりました。

 その後、軟組織の移植をして厚みを作れば、患者さんの希望する状態に多少近づけることができると提案し、その方法で対応することになりました。

 既に3カ月経過しているので、これ以上の委縮はあまりないだろうということで、最短で12月の前半に手術が決まりました。

 問題は、最初の先生が抜歯後に何もせず放置期間があったことです。抜歯時即時埋入あるいは早期埋入していれば、ほぼ良い結果が得られたのではないかと悔やまれます。

そして、審美領域へのインプラント治療を念頭に来院される患者さんについては、抜歯をとくに慎重に行う必要があります。唇側、頬側の骨をできる限り温存して、骨にダメージを与えずに短時間で抜歯することです。 良いインプラント治療を行う先生は、抜歯も上手です。医学的理論、生体の反応がわかっていることも必要です。これまで多くの症例を見てきましたが、技術の差は、きちんと結果に表れます。

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