院長ブログ

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心疾患があり、ペースメーカーを使用している患者さんに対し静脈内鎮静法を用いて3本のインプラントを埋入した症例


4月もほぼ毎日オペを行いました。そのうちの5回は上顎洞底挙上手術でした。
上顎臼歯部へのインプラント治療は難しいとよく言われますが、最近は、その中でもとくに難しい症例が多いように感じています。
印象深かった症例を紹介します。
60代の女性です。左上4、5、6、7番欠損で来院されました。
術前のCT検査によると、骨の垂直的な距離が足りないため、インプラントを埋入するには上顎洞底挙上手術が必要だということがわかりました。
ご本人は、絶対に部分入れ歯にしたくないということで、上顎洞底挙上手術を行い、インプラントを埋入して固定式の歯、もしくはブリッジを装着するということで治療をスタートしました。
骨量が足りないという局所的な問題に加え、この患者さんは、心臓に疾患(洞不全)があり、ペースメーカーを使用されています。そのため手術にはいろいろな制限がありました。
静脈内鎮静法を行う場合、当院ではBisモニター(脳波モニター)を使って鎮静度、眠りの深さを測定するのですが、ペースメーカーを使用しているのでこのBisモニターが使えません。
さらに、上顎洞の側壁を窓開けするところの近くに後上歯槽動脈が走っており、万が一、その動脈を損傷した時に止血するための電気メスが使用できませんでした。
麻酔科医からは、心臓疾患を抱えているため手術は短時間で終わるように、そして低侵襲の手術を行ってほしいという依頼もありました。
これらのハードルをすべてクリアし、結果的には、とくに問題なく、約2時間の手術で3本のインプラントを埋入することができました。
高齢化が進んでいるために、最近はいろいろな心疾患、循環動態に異常のある患者さんの手術をすることが多くなっています。
歯科医ではありますが、医科全般の幅広い知識を持って治療に臨む必要があると感じます。

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