インプラントを使った総義歯、局部床義歯で高齢者の口腔ケアをしやすくする
こちらは少数のインプラントを用いて義歯を小型化し、発音、咀嚼、味覚を改善した症例です。
総義歯の場合、入れ歯がどうしても大型になってしまうため、話しにくかったり、食べ物の味が悪くなったりすることが多くあります。こうしたお悩みには下顎で2本、上顎の場合は4本のインプラントを埋入し、ボタン状の維持装置を使って義歯を安定させる方法が有効です。
最近は、ロケーターという維持装置を使うことにより、非常に低価格で小型化された義歯をつくることが可能になってきました。
今後、高齢化が進むにつれ、日本人の高齢者に対するインプラント治療はインプラントオーバーデンチャー(IOD)やISPD、つまりインプラントを用いた局部的な入れ歯を使うケースが多くなってくるのではないかと思います。
多数のインプラントを埋入して固定式のブリッジや歯をつくるのも良い方法ですが、その患者さんが要介護状態になった時、自分では歯ブラシできれいにすることができない、そして介護する人も歯ブラシが大変でできないというケースも出てきます。そのような場合は、入れ歯を簡単に取り外せるインプラントオーバーデンチャーや局部床義歯に移行することにより、口腔内の衛生管理がしやすくなると思います。
この考え方は、前回のブログで紹介した林先生とも同じでした。実際、20年以上前にインプラントを埋入した患者さんで介護が必要になり、その介護者から口腔内のケアがしにくいと相談されることがあります。その場合はインプラントを使った総義歯、局部床義歯に移行できるとお話ししています。
こういうご相談があるということは、それだけインプラントが長く機能するということの証明でもあります。
わが国は最高水準の平均寿命を誇っていますが、実は要介護状態、寝たきり状態の方は平均で男性が9年、女性12~13年と言われています。このような超高齢化社会においては、インプラントを使った総義歯、局部床義歯は、健康に長生きするための有効な治療法ではないでしょうか。
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