心臓疾患を持つ患者さんへの歯科治療
高齢化が進み、高血圧や心臓病、糖尿病などの全身疾患を持つ患者さんが増えています。歯科医師は、単に歯の治療をするだけでなく、患者さんの全身状態を把握して治療に当たる必要があります。
患者さんがどのような持病を持っているか、外科処置を行ってよいのか、行う際はどのような注意が必要で、どのタイミングで行うのが良いのかを考えます。
もしそれがわからない場合は対診をして、かかりつけ医に手紙を送り、助言を求めることが重要です。
先日、当院の先生が、心疾患を持つ患者さんに多数歯抜歯を行うにあたり、循環器内科の先生に対診状を送ったところ、非常に難しい回答が届きました。心臓病の大動脈解離を発症し、スタンフォードA型の手術を受けたということです。手術に使う局所麻酔薬の成分や血圧の管理についてなど、詳細な注意項目が送られてきました。
大動脈壁は、内側から内膜、中膜、外膜の3壁構造からなります。中膜の深さで壁が剝離し内腔が2つとなります。内膜に亀裂が生じ血液が流入し本来の腔とは別に動脈壁内に新たな腔(偽腔)が生じます。
偽腔が拡大して瘤を形成したり真腔が圧排されて血液が流れなくなったりします。解離する大動脈の部位によりスタンフォードA型とB型に分類されます。
上行大動脈に解離があるのがA型、上行大動脈に解離を認めないのがB型です。
患者さん自身は、自分の病気についてよく調べて知識を持っています。歯科医院を訪れ、問診を受ける際、歯科医がその病気について詳しければ安心していただけると思います。
最近はテレビで医療系のドラマがよく放映されています。非常に難しい心臓手術など、治療の専門的な内容までドラマの中で説明されていて驚くことがあります。医療系のドラマは、大学医学部がサポートし、専門医が俳優にアドバイスしながら制作しているのです。ただ漫然と見るのではなく、どんな治療が行われているのか関心と疑問を持って見るのが良いと思います。
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