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最新型のインプラントシステムについて

世界には主要4大メーカーをはじめ様々なインプラントメーカーがあります。当院ではこれまで25年以上、主にD社のインプラントを使用してきました。

 最近、スイスのS社から発売された新しいインプラントシステムを使うケースが増えています。

当院には、インプラント治療の中でも難しい症例の患者さんが数多く来院されています。他院で治療できないと言われた方や、ご友人の紹介で来られることも多いのですが、その多くは、インプラントを埋入する部位の骨量が少ないケースです。  

例えば、下顎の臼歯部では下顎管という神経までの距離が短いとか、上顎臼歯部では、上顎洞までの距離が不足しているケースなどです。

下顎については、以前は仮骨延長という方法で行ったこともありますが、全身麻酔が必要な大掛かりな手術で、普通の開業医ではできません。このような場合、メーカーはショートインプラントを推奨し、当院でもそれを使ってきました。

上顎臼歯部の場合は、骨造成として上顎洞底挙上手術を行い、10ミリ以上の長いインプラントを埋入してきました。

ただ、最近当院に来られる患者さんは、20年前に当院でインプラント治療を受けたという方やご高齢で何らかの全身疾患をお持ちの方も多く、できるだけ低侵襲な手術を行っていく必要があると感じています。

インプラントはメーカーによって、各社それぞれに特徴があります。このたびS社から新しく発売されたインプラントシステムは、長さ、直径などインプラント体の種類が豊富です。以前のS社の弱点は、インプラント体の種類が少ないことでしたが、それが改善されました。

種類豊富なショートインプラントを使うことで適応症が広がり、骨量が少ない症例でも外科的手術を伴わない低侵襲な治療が可能になりました。もちろん、治療時間も短縮されます。

そして、この新しいインプラントの最も良いと思っている点は、手術で骨にドリリングしてインプラントを埋入した時の初期固定が非常に良いことです。

インプラントの安定性というのは、物理的な植立の力、つまり骨にどのくらい強く固定されているかで決まります。これを初期固定と言います。つまり物理的な維持力ですが、これは2週間位で数値は下がってきますが、やがてインプラントの表面に骨の細胞が近づいて骨が生着する2次固定(生物的維持)により、インプラントは安定していきます。

S社の新しいインプラント体が優れている点は、初期固定が素晴らしいうえに、形状の特徴として、スレッド(ネジ山)が鋭く、骨に接する表面積が増えていることです。その上、表面処理技術が優れていて2次固定も十分期待できます。

そして、材料にジルコニアが含まれており、とても硬くて鋭いので、骨の中にしっかりと食い込みます。そのため正しく埋入するには、オペレーターの熟練した技術、外科的手技が求められます。私もこの新しいインプラントを埋入する際は、きわめて慎重に行っています。

このように、新しいインプラントを取り入れ、患者さんに負担の少ない低侵襲な治療を行うよう心がけています。

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