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根尖性歯周炎のため歯根端切除術を行った症例
9月は、日々の治療に加えて24日の30周年祝賀会の準備もあり、かなり忙しく過ごしました。
この写真の方は、70代の女性です。左上の犬歯に根尖性歯周炎ができて、基本的な口腔外科的手術を行いました。
根尖性歯周炎が大きくなり歯根嚢胞に移行した場合、その歯をすぐ抜歯してブリッジやインプラントにするのも一つの方法ですが、私は基本的にできるだけ歯を保存したいという考えを持っています。保存的な根幹治療で改善が認められないと判断した場合、口腔外科で最も基本的な歯根端切除術を行うケースがよくあります。
当院には口腔外科の先生が何名か勤務していますが、その先生方は大学で悪性腫瘍など深刻な状態の患者さんばかり見てきているので、このような基本的な症例はあまり見たことが無いと言います。また、新しく入局してきた先生もこのような症例の経験が無いということなので、私にとっては当たり前のような手術でもこのブログで紹介することにしました。
歯根端切除術は局所麻酔だけで行い、時間は20分ほどで終わります。感染した歯根の先端を切削器具で切り取って、その先端に付着した歯根嚢胞を除去する手術です。
切開した骨膜、粘膜は、もとの状態に縫合して閉鎖創にする場合と、そこに抗生剤のガーゼを入れて開放創にする場合の2つの方法があります。私がほとんどの場合開放創で行うのは、術後の感染が無く予後が良いからです。
ただ、両法のテクニックを習得しておいた方が良いと思いますよと、若手の先生には話しています。
問題なのは、この歯根端切除術が適応症か、適応症でないのか。歯周ポケットがその嚢胞までつながっているのか、いないのかということです。つながっている場合は歯の保存が不可能で、適応症ではありません。抜歯して欠損補綴に移行したほうが良いと思います。
最近、当院では若い先生方がたくさんオペに参加するようになったので、このような基本的な方法についても教えていく必要があると思っています。もちろん、インプラント治療についてもきちんと教えていくつもりです。
この患者さんは70代後半ですが、今回治療した歯はおそらくあと10年位は保存できると考えています。
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