歯根嚢胞に対し歯根端切除手術を行った症例
70代の男性です。術前に検査したところ、左上の2番に親指のほどの大きな根尖性の病巣(歯根嚢胞)がありました。
医療面接でいろいろお話させていただき、抜歯してブリッジまたはインプラントという方法があるとお伝えしましたが、ご本人は歯を抜きたくないという強い意志をお持ちでした。
術前のCT検査をしたところ、ぎりきりで歯根端切除手術の適応で歯を残すことにしました。ただ、条件はあまり良くないので5年後には抜歯になるかもしれませんとお伝えしましたが、それでもやってくださいということでした。
実際、検査どおりの大きな歯根嚢胞がありました。
歯根端切除手術の後、なぜ長持ちしないかと言うと、嚢胞が大きいほど切除する歯根が長くなり、残された歯根が短くなるからです。
このような症例では骨色が悪く予後はあまりよくありません。
ただ、歯周ポケットは深くなかったので、手術することにしました。
術後は閉鎖創ではなく、開放創で処理しました。術後に、光殺菌a-PDTレーザーを照射して抗生剤を用いて洗浄します。
もちろん、術中はモニターで全身管理を行い、抗生剤と痛み止めの点滴を行って処置しています。
歯科治療では、術後の痛みや腫れをできるだけ軽くするよう全身管理も行わなければなりません。歯科医療は、単なる歯の修理だけではありません。全身的な状態も考えながら治療を行っています。
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